オンラインMMO『マビノギ』をモチーフとしたオリジナル小説【メインストリーム-Generation 0-】を中心に扱っております

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マビノギ-Generation 0- 序章04 第四話


          4


 ――きっと、笑われているだろうな。

 聖騎士〈パラディン〉養成所でバリダンジョン走破を言い渡されてバンホールへとやってきてからもう四日が経つ。
 同期の生徒たちはきっとやり遂げて、もうイメンマハへの帰途についているだろう。

 そして落ちこぼれである自分を「やっぱり」と笑っているに違いない――。

「っ……ヤバ、危ない」

 彼は、そんなことへと思いを馳せて――途切れそうになっている意識を慌てて持ち直した。
 かぶりをふって、頬を叩く。

 まるで効き目がなく、依然ぼんやりとしているが、それでもなんとか眠りにつくことだけは防げたようである。
 壁を背に、よりかかっていた身体を起こした。

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マビノギ-Generation 0- 序章03 第三話


          3


 鉱山と鍛冶の町、バンホールはエイリフ王国の統治下でウルラ大陸の南端に位置する。

 一時は地下資源採掘の中心地として繁栄していたものの、その後の採掘場――現在のバリダンジョンである――からのポウォールの出現、度重なる災害に見舞われた今は寂びれた村という印象が拭えない。若者たちのほとんどが都会を求めて出て行ってしまっているせいでもあるだろう。

 もっとも、当時は廃鉱の案すらあったほどなのだから、住民たちにしてみればそうならなかっただけでも僥倖なのかもしれなかった。
 今日もバンホールでは水力の素たる水車が勢いよく飛沫をたてている。


 そんな音を窓越しに感じながら、彼は対面にたつ少女を見やった。
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マビノギ-Generation 0- 序章02 第二話


         2


 ――金色の閃光が走った。

 事実は異なる。
 しかし混乱のさなかで、瞬きした彼の瞳には少なくともそう映った。

 次にみえたのはどす黒いまでの真紅。
 彼が頬を濡らすソレを拭うと、手にべったりと絵の具を思わせる伸びやかな赤を演出した。

「ひあっ……あぁぁ……」

 彼の情けない声よりも、周囲から聞こえる絶叫のほうがはるかに多かった。

 いや、はたして声といえるかどうか。
 金色の閃光が左に右に動くたびに、赤い飛沫が舞いあがり、歪な叫びが通路を支配する。

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マビノギ-Generation 0- 序章01 第一話
 序

          1


 彼の、剣をもつ手が震えた。

 怖くて、恐ろしくて、気持ちが悪い。
 一歩一歩と足を前にだすたびに、自分がどんどん異空間に飲まれていくような、そんな圧迫感が胸をただ締めつける。

 男のくせに、といわれるかもしれない。
 気の強い幼馴染に、そんなだからアンタはへたれなのよと怒鳴られたことが懐かしい。あのときはそんなことはないと言ったけれど、今の自分をみればそんなものが虚勢だったことはあきらかだ。

 へたれなのだ。
 臆病で、へたれで、勇気のひとかけらすらも宿っていない。
 そのくせ見栄だけは一人前で、本気で怒ったならば聖騎士とだって互角に戦えるなどと思っていた。

 なんと滑稽だろう。
 なんと浅ましく卑しい考えだろう。
 本気で?
 本気をだしたなら?
 そんな言い訳でこれまでどれだけ自分を誤魔化してきたのだろう。
 なにもできないのに。
 今一人でこうしている姿こそ、まさに本当の自分だというのに。

「僕は……」

 かちかちと、震えて噛みあわない歯が、薄暗く土臭い洞窟の奥まで響いていってしまっているような、そんな錯覚にとらわれて、彼は口をおさえた。

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