オンラインMMO『マビノギ』をモチーフとしたオリジナル小説【メインストリーム-Generation 0-】を中心に扱っております

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マビノギ-Generation 0- 第二章27 第四十六話



          27


 はたして、どれほど哀しみがこの街から生まれたのだろう。
 どれほどの嘆きが、あの空へ向かったのだろう。

 それは、ラングルの家に生まれた次男であるライルにとってもまた、例外ではなかった。

 そしてその日もまた一つ、彼の嘆きが空へと舞うこととなった。


「……え?」

「本日づけで、お暇をいただきたく……」

 目の前で恭しく頭を垂れるのは、祖父の代から仕えていた老年の執事だ。
 片眼鏡の奥、鈍色の瞳からは感情が一切読めない。塵一つないスーツと洗練された姿勢が一流の執事なのだと物語っている。ライルが物心ついたときから「爺」と呼んで慕っていた彼には、遊んでもらった記憶も数え切れない。

 その、彼が。
 彼までが、こう口にしたのだ。

「ま、まってよ……ねえ、なんで急にそんなこというの? お父さんがいなくなったから? お兄ちゃんが死んじゃったから? だいじょうぶだよ……ぼく、すぐ大きくなって家を建て直すよ。お母さんがいなくても、だいじょうぶだから。ばあちゃんだっているし……だから、だからさ――――」

「ライル坊ちゃん。イメンマハの惨劇によってラングル家が被った被害はあまりにもおおきいものです。旦那様、奥様……そして兄君であらせられるゲイル様も亡き今、各地で推し進めていた産業は中止せざるをえません。タルティーン地方にてすすめていた農林漁業、またバンホールの鉱業団体からもこれ以上の支援金停滞は計画の撤退を否めない、との報告があがってきております。ラングル家は……没落いたします。今、この家にあるものは全て借金の返済に充てられることでしょう。坊ちゃんがいま立っておられるこの絨毯も、そうです」

「やだよ……いかないでよ……ぼく――ううん、おれ、がんばるから。すぐもとに戻すから。穴の開いた壁も直すよ。崩れちゃった三階も、焼けちゃった庭だって! そうだ……爺たちの使用人部屋だってもっともっとおっきくするよ! だから……」

「……申し訳ございません、坊ちゃん。ですがわたくしを雇うようなお金すら、いまは惜しむべきなのです。……失礼いたします」

「まってよ……ねえッ……まってよぉぉぉぉおおおお!」


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